夜のしめやかな願い
「今日はありがとう。
今までも。
もうちょっと母の整理のことで、手伝ってもらうと思うけど」
正座をして手をついて頭を下げてから、宗臣を改めて見つめる。
宗臣は立膝に頬杖をついて、皮肉の笑いを浮かべた。
「オミ?」
「おまえぐらいだ」
「何が?」
私を無邪気に全く意図なく利用するのは。
宗臣は言葉にはしなかった。
「さゆり」
その代りもう一度名前を呼んで、片手を差し出した。
お手?
さゆりは少し首を傾げて、ぱふっと載せてみる。
瞬間、宗臣の瞳が獰猛にきらめいたのを見た気がする。