禁断のお茶会
「私は近所の人が嫌いよ。しょっちゅう嫌がらせをしてくるから……。そんなこと許すはずがないのにね」

ゾッと背筋に寒気が走るような冷たい笑顔をナターシャは向けた。

「エリーゼは誰かを憎んでるの?」

イザベラがケーキにフォークを突き刺し、訊ねる。その目は緊張しているようだった。

エリーゼは「えっと……」と言いながら考える。しかし、誰の顔を思い浮かべてもいい印象しか思いつかない。

「ここに招待されたということは、あなたも誰かを憎んでいるということよ」

ナターシャが紅茶を飲みながら言う。

エリーゼは突き刺さる視線を避けるように、俯き考えた。

しかし、何も感じない。素敵な思い出しか浮かばない。

結婚は嫌だが、結婚する相手が憎いわけではない。

「ごめんなさい、私はわからないです」

エリーゼは申し訳なさそうに言うしかなかった。

みんなの顔が曇った。
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