禁断のお茶会
アルベルトがエリーゼの手を取り、自分の方へ引き寄せる。その手をモリーがピシャリと叩いた。

「およし!もうすぐ結婚する娘に何をするつもりなんだい!」

「冗談ですよ〜」

アルベルトはエリーゼを離すと、逃げるように去って行った。彼はこの村で女たらしとして有名だ。

「わしはそろそろ行くとしよう」

「私もそろそろ行くわ」

「はい」

二人が去って行くと、エリーゼは深いため息をつく。まだ起きたばかりなのに、体が重く感じる。

エリーゼは、来月に隣国の貴族の公爵と結婚することが決まっている。結婚してこの村を出て、隣国の貴族の屋敷で暮らすのだ。

お金持ちと結婚して、何不自由ない生活が約束されたエリーゼを羨ましがる者も少なくない。しかし、エリーゼはこの結婚を喜ぶことができない。むしろ結婚したくないというのが本音だった。

公爵は旅行でたまたまこの村に訪れた。そしてスーツのボタンが外れたのを直すためにエリーゼの家の仕立て屋を訪れ、エリーゼに一目惚れをした。
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