今日から夫婦を始めました
「覚えていない?」

彼は人差し指で自分を指差した。

えーっと、誰なんだ?

見たことがあると言えばあるけれど、誰なんだろう…?

彼の質問に答えることができないでいたら、
「小学校の時、一緒のクラスだったじゃないか」

彼が言った。

「しょ、小学校…?」

そんなことを言われても、小学校時代の同級生たちとは特にこれと言った交流はしていない。

なかなか思い出せない私の、
「僕だよ、北居だよ。

小学5年生の時、一緒のクラスだった」

彼がもう早く答えてくれと言わんばかりに急かしてきた。

「き、北居…?」

その名字に、私は覚えがあった。

「もしかして、北居平匡くん?」

彼――北居くんの名前を言った私に、
「そうだよ、やっと思い出してくれた!」

北居くんは嬉しそうに返事をしたのだった。
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