今日から夫婦を始めました
最後の段ボールが床のうえに置かれた。

「ヨイショ、これで全部だな」

北居くんはふうっと息を吐くと、手の甲で額の汗をぬぐった。

「ご苦労様」

私は段ボールからカーテンを取り出しながら返事をした。

「それ、つけるの?」

「うん」

私は首を縦に振ってうなずくと、レールにカーテンを取りつけようとした。

「俺がやろうか?」

「えっ、別にいいわよ」

私が返事をしたら、
「こう言うのは男の仕事だから。

ほら、貸して貸して。

まだ時間があるし、カーテンの取りつけが終わったら帰るから」

そう言って手を差し出した北居くんに、私はお願いしますとカーテンを渡した。

さっさっと、手なれたように北居くんはカーテンをレールに取りつけた。
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