森の妖精と団長さん




「実はね、あの当時エマがレーガン家にさらわれていたってことは王様やコウ、ルカと一部の騎士団員しか知らなかったの。だから、花嫁候補たちもいつも通り過ごしてた。」



「でも…、私は、エマが危険なことに巻き込まれてるって知ってたから。こんな呑気なことしてて良いのかって思って、花嫁候補を辞退して、実家に帰ったの。毎日レビィのところに通って…。」




レビィさん…
会いたいな。


シスカさんにも、すごく心配かけてた…。



「花嫁候補を辞退して、しばらくした頃にね、コウがレビィのお店に1人でやってきたの。いきなり…、抱きついて『ずっと前から好きだった。』なんて…。っ、ほんとに夢かと思った。王宮に連れて行かれた時には、花嫁候補のみんなは家に帰ってて、現実なんだと思ったわ…。」



王子はずっと前から好きで
シスカさんも同じ。

2人はお互いの気持ちを知らずに、…いや、お互いの立場があるからこそ、伝えてこなかったんだ。



< 142 / 170 >

この作品をシェア

pagetop