女の子にならせてよ

一応ゆっくりドアを開ける。




別に隠れる必要はないんだけど…ね。



今、お母さんに会いづらいから…。










階段を降りて玄関で靴を履く。





「出かけるの？」



後ろから突然声がかり、驚いてドアに手をかけたまま、ビクッとしてしまった。




「あ、うん。」



動揺を悟られないために、必死にいつも通りの笑顔を作り、振り返る。





「そっか…」


…ごめん、そんな顔させてしまって……ごめん。




幸せそうな顔を見たいと思ってるだけで…、実際には、そんな寂しげな顔をさせてしまってる弱い私。






…ごめんね、お母さん。











寂しげに笑ったお母さんを見て胸が痛くなった。




これ以上、そんな風に笑うお母さんを見たくなくて「行ってきます」と早口に伝え、家を出た。