女の子にならせてよ
鋭い目つきで見られても、私はどうしたらナンパ野郎を撃退できるかわからなくてその場で固まったまま。
…男は受け付けない、怖い。
今だって、声を聞くだけで鳥肌が止まらない。
こんな弱い自分を変えたくて共学の高校に行ったのに…やっぱりすぐには変えられない。
湊はどうしてかわからないけど、平気だった。
でも所詮、湊だけだ。
男で受け入れられるのは。
そんな私をチラリと見てスマホを操作する美織。
「もしもし湊?今から駅前の新しくできたカフェに来て??…は?用事あるとか知らないわよ。ダッシュでね」
そう電話で言いながらナンパ野郎を睨みながらしっしっと手で追い払い、雑に電話を切った。
さっきまで男に対する恐怖を抱いていた心が“湊”というワードでどこかへ行った。