リンク・イット・オール
「あっ、悠!そろそろ時間でしょ、行かなくていいの?」
「へ?あっ!」
莉乃ちゃんに言われて時計を見ると、時刻はもうすぐ13時。
本番は13時半からだから、そろそろ体育館に行って出番に備えなければ。
そう思い私は慌ててエプロンを外す。
「私と松永も、すぐ休憩入って見に行くからね!頑張るんだよ!」
「う、うん……行ってくる」
莉乃ちゃんはそう言って、私に気合を入れるように肩をバシッと叩いた。
莉乃ちゃんたちも、応援してくれてる。
頑張ろう。
そう深呼吸をひとつして、体育館へ向かった。
人混みの中をなんとか抜けながらやってきた体育館では、現在演劇部による劇が上演されていた。
広い体育館が観客でいっぱいだ。
「あ、悠。きたきた」
その体育館の端で高田先輩に手招きされ、駆け寄ると、すでに笹沼先輩も関先輩もいる。
「すみません、遅くなっちゃって」
「ま、逃げ出さなかっただけ偉いな」
笹沼先輩はそう茶化すように笑って私の頭をわしわしと撫でた。