リンク・イット・オール
「すみません、いきなりあんな暗い話して」
「気にしなくていいよ。それに、うちも似たようなものだし」
似たような、もの?
その意味を問うように彼の背中を見上げると、真紘先輩は言葉を続ける。
「うち父親いないんだ。弟が生まれてちょっとしてから離婚して」
「えっ、そうなんですか?」
「そう。幸い父親が養育費もちゃんと出してくれてるし、身内もなにかと支えてくれてるから生活に困ったことはないけど」
そうだったんだ……。
周囲の支えがあるにしても、お母さんひとりで4人の子育ては大変だろう。
けれど、その努力があってみんなが笑ってるあの家になったのだと思う。
「俺が小学校に上がった頃、母親は仕事が忙しくて。妹たちも弟も保育園とか親戚の家に預けてたから、俺はひとりの時間が多くてさ。仕方ないこととはいえ、やっぱり寂しかったな」
『寂しかった』、その言葉を口にする彼の横顔は、切なげに前を見つめる。