リンク・イット・オール



そう話をしていると



「あー!!!」



背後でおとなしくパソコンを使っていた笹沼先輩が、突然叫び声をあげた。

あまりにも突然の大声にびっくりしている私の隣で、真紘先輩はうるさそうに顔をしかめて笹沼先輩を見た。



「なに、どうかした?」

「最悪!プリンター壊れた!楽譜印刷できねー!」

「楽譜って、なんのですか?」

「決まってるだろ、新曲の!来月末の文化祭に向けてそろそろ始めないとと思ってたらこれだよ!」



そっか、来月末は文化祭がある。この軽音楽部も、同好会とはいえステージが借りられるのだろう。

ていうか、曲って笹沼先輩が作っていたんだ。

自分で作ってパソコンで打って印刷して……すごい、プロみたいだ。



感心してしまうけれど、笹沼先輩はそれどころではないらしい。叫びながら頭を抱えている。



「学校のプリンターは借りられないんだっけ」

「そうそう。同好会は趣味同然、よって校内備品の使用は不可。校則ゆるいくせにそういうところ厳しいんだよなぁ」



そうなんだ。厳しい……とは思うけど、そう制限することで同好会が増えることを防いでいるのだろう。


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