初恋レモン
せっせと授業の準備をしていると
私はあることに気が付いた。


「…教科書忘れた。」


一時間目の数学の教科書を
家に置いてきてしまった。


どうしよう…。
ただでさえ遅れてて
分からないのに…。


なんとかしなきゃと
考えていると
隣でガガっと大きな音がした。


そっちを見れば
海人君が私の机にピッタリと
自分の机をくっつけていた。


「え?えぇ?」


いきなりの行動に頭がついていかない。


「教科書、忘れたんでしょ?
一緒に見せてあげる。」


…やっぱり海人君は優しい。
昨日と今日だけで、
何回海人君の優しさに触れたんだろう?


その度に私は
小学4年生だった頃の気持ちを取り戻す。


ううん、違うかも。
もっともっと大きな
”好き”って気持ちになる。
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