初恋レモン
『好き』


溢れそうな言葉を何とか押し込めて
「ありがとう」と海人君に向かって笑った。



数学の先生が来て、
授業が始まってからは


…集中できない。


真ん中に置いた教科書を
2人で覗き込むから
その度に肩が触れて
一気にそこが熱を帯びる。


私のドキドキが
海人君に伝わっちゃうんじゃないか
ってずっと心配だった。



結局1時間の内容は
全く頭に入ってこなかった。


でも、机を戻そうとした海人君に
もう一度お礼をした。
そしたら


「どんだけ言うの?
友達なんだから当たり前でしょ。」


って柔らかい笑顔を浮かべた。


海人君は
私がキュンってするポイントを
全部知ってるかのよう。


その笑顔も言葉も。


確かに”好き”って気持ちはあるけど、
まだ付き合うとかよく分からないから
今は友達のまま
そばにいられたら十分なんだ。
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