敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「さっきはまだ見られる高さだったから軽く済ませたが、天辺なら何をしても大丈夫なんだろう?」
何をしても大丈夫、だなんて社長に何を教えられたかわからないけど、鋭い目付きで辺りを見回す室長はまるで仕事中の姿のよう。
なのに天辺に着いたらキスする気満々の、欲にまみれた発言がかけ離れすぎてて笑いそうになる。
「何をしても大丈夫って、なにする気なんですか」
「わかってるくせに訊いてくる君のそういうところ、俺は好きだよ」
「ん……っ」
室長が言った『好き』という言葉に驚いて固まっている隙に再び唇が塞がれた。
私のことが好き、と素直にそう受け取っていいのか、そういう性格の子が好きという意味なのか。
それは曖昧だけど私の動揺を煽るには十分だった。
そんな私の心の内を知ってか知らずか、室長はするりと腰に腕を回し、体が密着するように引き寄せる。
とたんに室長の体温が感じられ、身体の奥で熱がくすぶり始める。
角度を変え、舌先を交えて何度もキスを繰り返すうちに頭の中が酸欠気味になってくる。
「ま……だ天辺じゃ……ないの、に……」
息を継ぐ間に若干フライングだと訴えてみたけれど、吐息混じりの甘えた声では説得力に欠けていた。
「いや、今がちょうど天辺だ。余裕があるなら見るといい」
室長は艶めいた目を私に注ぎながらこう囁くと、景色を見る余裕なんて与える気がないぐらいの深いキスを落とす。
私の背中に回された手がスーツの上着とブラウスの隙間に入り込み、艶かしく擦られるだけでつま先に力が入り指先がきゅっと丸まってしまう。