敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「だ、大丈夫です。困ってません。ですが、どうしてそう思われたんですか?」
「え? だってあの男、七海ちゃんのことチラチラ目で追ってるのよ。気持ち悪い」
「いやそれって私が頼りないから何かやらかしそうで心配だからとかじゃないです?」
「ううん、違うわ。それにあいつが見てるのはここ最近始まった話じゃないもの。ずっと前からよ。七海ちゃんのこと気にかけてるのか、たまに口元を緩めてひそかに笑ったりして」
そう言って阿川さんは「気持ち悪い、気持ち悪い」とぶつぶつ言いながらパウダーを肌に乗せていく。
あれだけイケメンの室長をこれだけ嫌っているのは社内では阿川さんぐらいだろう。
「でもね、最近はちらっとも見なくなったのが不思議だったんだけど、七海ちゃんと大川常務の話を聞いて納得したのよ。ああ、フラれたのねって」
「阿川さん、私フッてませんよ。それと常務ともお付き合いはしていないんです」
「あら、そうなの? あちらのお姉さんたちは七海ちゃんが来てくれるものだと思ってるわよ」
「いえ、お友達として接しているのでまだそこまでは……」
慎太郎さんからは週に何度か電話が来て、メッセージは毎日やり取りをしている。
意外にも話が合うので今ではそこそこフレンドリーな関係になっていると思う。