敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
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しんと静まり返ったフロア。
時間はもうすぐ21時を迎えようとしている。
かなり遅くなると言った室長の言葉は、私を諦めさせるための嘘ではなく本当だったらしい。
21時過ぎならいいというメールを受け取った時は私の素直な想いを伝える機会がもらえて嬉しかった。
まあ室長にとっては大迷惑な話かもしれないけど、もう私の決心は固かった。
私は室長が好き。
室長じゃなきゃ嫌だし、また以前のように他の女性と付き合う彼を見たくない。
想いを伝えてもダメかもしれないけど、それでもこれまでみたいに主張もせずにダメになるのはもっと嫌だから。
それにダメならダメで、そこを直せばもしかしたら……という希望も持てるかもしれない。
とにかく、黙っていても幸せはやって来ない。
「失礼します。神田です」
「どうぞ」
社長は既に帰っているのは確認したので、このフロアには今私と室長しかいない。
しんと静まり返った中、よそよそしい入室の許可がおりて私は中へ入る。
このシチュエーションは、室長から突き放されたあの日のようでどこか心苦しい。
でも、あの時とは違い、私はもうどん底にいるのだから何も怖くはない、はずだけど。