敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「そうそう、今日から配属の新人さん、午後から挨拶に来るみたいよ」
「あ、例の飛び級の……」
「そう!去年から話のあった子だと思うのよね。何で今頃入社して半年の新人を異動させるのか室長に聞こうと思って」
「教えてくれますかね?」
「ううん、言わないと思う。でもいつも勝手に決められてばかりじゃ面白くないでしょ?少しはあの鉄仮面の焦る顔が見たいわ」
ふふっ、と笑いながらそう話す阿川さんは室長の藤堂さんとは犬猿の仲だ。
阿川さんと室長はたぶん同じぐらいの年齢だと思うけれど、どちらが上なのかは分かっていない。
阿川さんの秘書歴は不明で、それについての質問は他の先輩から聞くところによるとタブーとされているらしいので、彼女から話してこない限り私が阿川さんの社歴を知る日は来ないだろう。
「七海ちゃんもやっと先輩になれるわね」
「そ、そうですよね。でもすぐ抜かされそうです。だって入社半年でここに配属って、優秀だからですよね?」
「そうとも限らないわよ。知ってるでしょ?去年までいたほら、庶務課に落とされちゃった専務の愛人の子。ああいうのもいるからね。コネで秘書になったけど、寵愛を失えば……ってね」
「あ、ああ……。ありましたね……」