敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「悪いが頼む。俺がなんとか出来ればいいんだが今夜の暁斗の接待同行は外せないんだ。それに彼女は歓迎会だと思っているから合コンだと分かれば動揺するだろう」
そう言って上着に袖を通し、きっちりとボタンを留めた室長は全身をくまなくチェックしつつ、私との会話を続ける。
そして最後に髪をそっと撫でるように触れて整えると、あっという間にいかにも仕事が出来そうなイケメン室長の出来上がり。どこからどう見てもカッコいい、スタイリッシュな男性だ。
よく考えればこんなに素敵な人が本気でわたしと、なんて思うわけないよね。
それに佐伯さんは歓迎会だと思ってる、ということは彼女と歓迎会の話をしているということで。
そうだよ、大切な人ぐらいいるんだよ。
室長のお家は詳しくは知らないけど色々難しそうな感じだし、付き合えない事情があるのかもしれないし。
私は『保険』だもん。
こんなの言葉を変えたらキープと一緒でしょ。
ホント、私ってバカだなあ。
室長に少しは気を向けられてると思いかけてた。
「わかりました。じゃ、私行きますね」
「待て、どうしたんだ?」
「どうもしませんよ。合コン楽しみだなって思って。室長よりいい人見つけてきますね」
そう言って黒い気持ちを全力で抑え込み、にっこりと笑顔を作ったつもりだけれど。