敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

酔って足がふらつく佐伯さん。
転ぶ、と私だけじゃなくたぶん本人も思ったはず。
けれど、そこはイケメンらしく剣崎さんが華麗にしっかり抱き止め、事なきを得たものの。

なぜか抱き合ったまま離れない、というより離してもらえていない状況のようで、佐伯さんは腕を動かそうとしているけれど剣崎さんは動じない。

これって絶対マズイ。
助けられるの私しかいないけど。
どうやって助ける?

考えてもいい案が思い付かず焦っていると、剣崎さんの腕の中で抵抗しているらしい佐伯さんが顔を上げ、不意に二人が顔を見合わせる。

すると一瞬、あの剣崎さんが動揺した表情を浮かべ、顔を近付ける素振りをした。

もうダメだ、助けなきゃ、と焦って立ち上がるも、私じゃない誰かが突然現れ、二人の間に割り込んで佐伯さんを剣崎さんから引き剥がした。


「えっ……」


現れたその人物に見覚えがあり、思わず驚きの声を漏らしてしまった。

その人物は佐伯さんをしっかりと抱き寄せると、剣崎さんと対峙して、普段の軽い態度からは想像できないほどの鋭い目で睨み付けている。


「お前が来ちゃうんだ。Agresの社長って暇なの?」

「暇なわけないだろ。合コン三昧のお前とは違うさ」


二人とも低い声音ではあるけれど強い口調で話すので、ここにいても会話がしっかり聞き取れた。

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