敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
このダイニングバーは個室がいくつかある他に大きなホールもあり、店内はわりと広めになっている。
ただ、さっき剣崎さんは『外の空気』と言っていたので、合コンを抜けてどこか店内の化粧室周りの話せるような場所ではなく、外へ出ていったと思われる。
二人を探してコソコソと辺りを窺いながら店の外へと出る私。
まるで下手な探偵ごっこみたいだ、なんてくだらないことを思っていると、お目当ての二人を発見したけれど。
二人がいたのは店を出てすぐ脇にある狭いスペース。
店の入り口とスペースの境界の壁は、数本の細長く濃いめの色合いの枯れ葉的な飾りがまとわりついている樹のようなものがその役割を果たしている。
様子を窺いながら隠れられそうな場所などなく、出来ることといえば樹を挟んでしゃがみこんで、隙間から二人を覗き見るぐらい。
二人からはよほど注視しなければ見つからないだろうけど、このお店は通りに面しているので通りすがりの人から見れば、あんた怪しすぎるよ、と思われているに違いない。
たとえ見知らぬ通りすがりの人から不審者と思われようと、佐伯さんを何とか守らなければならない。
けれど、そう思っていても何か話しているのはわかっても周囲の雑音に紛れてしまい、二人の会話が全く聞き取れない。
仕方ないのでとりあえずこのまま見守ろう、そう思った時、事態は一変した。