敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「……じゃあ預かっておきます……。でも、誰も見つからなかったら使いますよ?」

「もちろん構わない。君は、他の誰かが見つかるまでは俺の恋人で、見つからなければ妻になる。それでいいな?」

「は、はい……」


なんて、返事はしてみたものの。
はっきり言ってドキドキが止まらない。

室長の恋人で、いずれは妻で、って私なんかでホントにいいのかと信じがたいけど、何度確かめてもそうだと言うのでもう信じることにする。

室長はまだ私に愛とか恋とか、そういう感情はないと思うけど、いつかは歩み寄りたい。


「あの、1つ訊いてもいいですか?」

「いいよ」

「えっと、佐伯さんと社長って……、え、あ?ん……っ!」


話している途中で突然落とされる熱い唇。
質問の続きを飲み込まれてしまいそうなキスに頭の中は蕩ける寸前だ。


「な、なんで……」

「いいな、これ。答えられない質問をされたら言えないように口を塞ぐ。今度からこうしようか」

「何言ってるんですか……!言えないならそう言えばいいじゃないですか……!」

「七海は怒ってる顔も可愛い」

「なっ……」


頬杖をつきながら、色気たっぷりの流し目を送りまくるこの人に、私はすっかり籠絡され、他の誰かを探す必要はもうないだろうと思った。
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