敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「で、合コンで俺よりいい男は見つかった?」
「見つかりませんよ。というか佐伯さんを守ることに集中してたので全然楽しめませんでした」
「そうか。残念だったな。じゃ、可哀想な君にプレゼント」
「プレゼント?なんです?」
はい、と手渡されたのは色気もなにもない茶封筒。
一瞬、小切手とか商品券?とも思ったけれど。
「え……。こ、これって……」
「ああ。『保険証券』の代わりかな。君は確かなものがほしいかと思ったんだ」
「ほ、保険証券って……、これ、婚姻届……」
茶封筒に入っていたのは婚姻届。
そして”夫になる人“の欄には”藤堂薫“といつもの室長の達筆な文字が書かれている。
「な、何考えてるんですか……」
「何って、君を安心させようかと……」
「そうじゃなくて……!これ私が書いて出したら室長の『妻』になるんですよ?」
「そうだな」
「いいんですか」
「ダメなら渡さない」
「っ……」
この人は一体どこまで私を振り回せば気が済むんだろう。
人の気も知らないですました顔しちゃって。
「じゃあ明日出しちゃいますよ」
「どうぞ?」
「本気ですよ?」
「俺も本気だけど」
「うう……」
私が何を言っても動じなくて、むしろ私が騒げば騒ぐほど室長の口元は緩んでいき、やり取りを楽しんでいるかのよう。