俺がきみの一番になる。
きっと、もう大丈夫。
「ねぇ、本田君のことが気になってたりはしないの?」
「え?」
「だってだって、本田君ってすっごい亜子ちゃんのことが好きじゃん! 真面目な人っぽいしさ、あたし的にはいい感じの人だと見てるんだけど」
ものすごくキラキラした瞳を向けられて、明らかになにかあることを期待している結愛ちゃん。
「一緒にいてドキッとすることはあるけど……そんなんじゃないよ」
そう、ちがう。気になってたりするはずがない。
「太陽君と別れてそろそろ一年だけど、まだ新しい恋に踏み出せない?」
「新しい、恋……そっか、もう一年も経つんだ」
去年のちょうど今頃、太陽に浮気疑惑が上がって苦しんでいたっけ。今となってはもう懐かしい出来事。
だけどあのときは苦しくて悲しくて、本人に聞くのも怖くて、ただ泣いていた。
太陽に未練はないけど、思い出すとツラくて苦しい気持ちが蘇る。ズタズタに傷つけられて、もう二度と笑えないんじゃないかって思った去年の夏。
『亜子といると疲れるんだよ』
太陽の言葉は私の心に深い傷跡を残している。もう二度と心が張り裂けるような、あんな思いはしたくない。
「まだ……恋はいいかな」
「そっか、まぁ、亜子ちゃんがそう言うならね。でもあたしは、いつかお互いイケメンな彼氏を見つけてダブルデートをするっていう約束、忘れてないからね」