俺がきみの一番になる。

好きになるとどんどんハマりこんで、その人のことしか見えなくなる。

こんな自分は嫌なのに、他になにも考えられない。

そして、途端に好かれてる自信がなくなる。

それからも朱里ちゃんはやってきて、なぜか草太の彼女だとみんなから認識されるようになった。

あれから毎日のように、モヤモヤモヤモヤ……。


「はぁ……ダメだ」

こんな時は、ちょっと外をウロウロしよう。

上着を羽織って外に出ると、夜空には満月が浮かんでいた。

マンションからエントランスを抜けて、駅のほうへと歩いて行く。

「おーい、亜子ちゃーん!」

繁華街にたどり着くと、遠くからこっちに誰かが手を振っているのがわかった。

目を凝らしてよく見ると、そこにいたのは結愛ちゃんだった。

その隣には男の人がいて、直感で彼氏だということがわかった。

「結愛ちゃん、久しぶり!」

「ほんと、夏休み以来だよね」

「うん!」

結愛ちゃんは相変わらず綺麗で美人で、隣にいる彼氏は優しそうなゆるふわパーマのイケメン男子。

「あ、紹介するね。あたしの彼氏の長谷川大翔(はせがわ ひろと)だよ。大翔って呼んであげて」

「よろしく、えっと、亜子ちゃん?」

軽く会釈されたので、私もペコリと返す。

「よろしくね、大翔君」

美男美女のふたりは、並んで歩いているととても目立つ。

< 217 / 256 >

この作品をシェア

pagetop