俺がきみの一番になる。
好きになるとどんどんハマりこんで、その人のことしか見えなくなる。
こんな自分は嫌なのに、他になにも考えられない。
そして、途端に好かれてる自信がなくなる。
それからも朱里ちゃんはやってきて、なぜか草太の彼女だとみんなから認識されるようになった。
あれから毎日のように、モヤモヤモヤモヤ……。
「はぁ……ダメだ」
こんな時は、ちょっと外をウロウロしよう。
上着を羽織って外に出ると、夜空には満月が浮かんでいた。
マンションからエントランスを抜けて、駅のほうへと歩いて行く。
「おーい、亜子ちゃーん!」
繁華街にたどり着くと、遠くからこっちに誰かが手を振っているのがわかった。
目を凝らしてよく見ると、そこにいたのは結愛ちゃんだった。
その隣には男の人がいて、直感で彼氏だということがわかった。
「結愛ちゃん、久しぶり!」
「ほんと、夏休み以来だよね」
「うん!」
結愛ちゃんは相変わらず綺麗で美人で、隣にいる彼氏は優しそうなゆるふわパーマのイケメン男子。
「あ、紹介するね。あたしの彼氏の長谷川大翔(はせがわ ひろと)だよ。大翔って呼んであげて」
「よろしく、えっと、亜子ちゃん?」
軽く会釈されたので、私もペコリと返す。
「よろしくね、大翔君」
美男美女のふたりは、並んで歩いているととても目立つ。