俺がきみの一番になる。

それからは極力男子との関わりを避けるようになって、気づけば一人でいることのほうが多くなっていた。

中には心配して声をかけてくれる男子もいたけど、それを見た女子からまた陰口を言われた。

最初は立ち直れないくらいショックだったけど、慣れって怖い。

中学を卒業する頃には涙も出なくなっていた。それに、心も少しだけ強くなった気がするんだ。

その証拠に、少々のことでは泣かなくなった。

人のことを陰でコソコソ言う人には負けたくなくて、なにを言われてもいつも笑顔でいた。

そうすれば、勝ったような気になってみじめじゃなくなる。自分のことをかわいそうだと思わなくてすむ。

だから私はいつもヘラヘラ笑っていた。

それが今でも板についていて、なかなか抜けない。

だって、笑っていない私は、みじめでかわいそうだから。

そんな私の気も知らないで、本田君は……。

って、また思考が本田君に向いてしまう。

でも。

「ちょっと、言い過ぎちゃったかな……」

今さら少しだけ後悔している私。いつもなら、あんなことを言われてもヘラヘラ笑っていたはずなのに。

どうしてできなかったのかな。

さっきの私は、いつもの私じゃなかった。

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