俺がきみの一番になる。
あははと高木君の言葉を笑い飛ばす。
三人での他愛ないやり取りは、とても楽しい。二人が人の悪口を言っているのを聞いたこともないし、いつもくだらないことで笑っている。
「そういや、亜子ちゃんの夏休みの予定は?」
「え、予定? 特になにもないけど、他校の友達と遊ぶくらいかな」
それにしても気が早すぎない?
まだ一ヶ月以上も先のことだよ?
「あ、もし時間があれば、草太の野球の応援に行ってやってよ。こいつ、野球バカなだけあってなかなかやるから」
「うん、いいよー! 亜子、スポーツ観るの好きだし」
「あ、あとさぁ、クラスの奴らと花火しようぜ! 人数集めてるんだよな。もちろん、草太も参加するから」
「花火! いいね、楽しそう!」
明るくて友達が多い高木君は、なにかを考えたり企画したりするのが大好きで、よくクラスの人たちを誘って遊んでいる。
夏のイベントは大好きだし、みんなで遊べたら楽しいだろうなぁ。
「あ、いけね。俺、ナベちゃん先生に呼ばれてたんだ! ちょっと行ってくるわ」
高木君はそそくさと立ち上がり、足速に校舎の中へ戻って行った。慌ただしいというか、落ち着きがないというか、忙しい人だ。
「本田君は夏休みはどこか行くの?」
二人きりの空間は少し緊張するけど、もう慣れた。
「俺は毎日部活だよ。それより、俺、マジで柳内さんのことをなにも知らなかったんだな……」