俺がきみの一番になる。
駅の近くのコンビニの前まで来た時、辺りはすっかり暗くなっていた。
特になにも考えずに家を出たから、ジーパンにTシャツというとてもラフな格好。髪の毛はドライヤーで整えてきたけど、休みの日だからなのか気が抜けてスイッチが入らない。
ただぼんやりと繁華街の中を歩いていた。すると前から派手な男子の集団がやってきて、ワイワイ騒いでいるのが見えた。
横に広がってダラダラ歩くその集団。周りの人は彼らを避けるようにして道をあける。
「でさー、おまえがあの時ジャンプするから見つかったんだろーが」
「はぁ? 俺のせいじゃねーし。前田が悪いんだろ」
彼らとの距離が近くなって、そして私も、避けようとして端っこのほうへ寄った。
「おいおいおいおい、ってか、俺じゃねーよ!」
だけど、その中の一人が突っ込みを入れるようにパシンと隣の人の肩を叩いた。
──ドンッ
その瞬間、叩かれた人と肩がぶつかった。
「す、すみません」
小さく頭を下げてその場を離れようとする。
「うっわ、見ろよ」
「やべっ、マジタイプだわ」
そんな声とともに、男子たちが立ち止まって私を見た。口元には怪しい笑みを浮かべていて、背筋がゾッとする。
「ご、ごめんなさい。急いでいるので」
そう言って足速にその場を去る。
「おいおい、なにいきなり早足になってんの。逃げんなよ」
「ははっ、おまえが怖いからじゃね?」
「ちょっと待ってよー、これから一緒に遊ぼうぜ」
隣に並ばれ、下から顔を覗きこまれた。派手な金髪と、耳にはたくさんのピアス。鼻と口にもピアスがしてあって、とても痛そう。
眉毛を全剃りにした、ヤンキーとしか思えないような男子たち。中にはモヒカンの人もいて、明らかにみんな柄が悪すぎる。
やだ、関わりたくない。
「そんなに逃げなくてもよくね?」
「なんもしないって」
「ははっ、どの口が言ってんだよ」
やだ、こわい。
目を合わせず、逃げるようにして、人にぶつかりながらどんどん突き進む。