ボクは初恋をまだ、知らない。
ボクは啓介から離れたはずなのに、

突然グンッと腕を引っ張られた。

「……っっえっ!!?」

ダンっ!!!

ボクの細い腕を、啓介がいとも簡単に

大きな手で捕えて

2回目の壁ドンをされていた…。

「啓介………??」

こんなの練習に、ないのに……。

それどころか、見たことのない

真剣な目付きで見つめてくる啓介に、

ボクは何故か緊張感を覚えた…。


「おまえ俺が男だって事、分かってるか?」


「………っっ!!?」

今、目の前にいるのが誰だか一瞬、
分からなかった……。

ドキドキなのかもよくわからない感覚に襲われる。

困惑したボクは今、
どんな顔をしてるの………??

「……………千景??」

固まってしまった俺に、
啓介が呼んでくれてるのに反応出来ない程、

衝撃的だったんだ……。

気づいたら、
啓介がタオルをボクの顔にくっつけてきた。

「………っっ!?汗っっくさぁ!!」

「はっはー!!ざまぁ!!」

啓介のイタズラによって、
《壁ドン 再現》は終了した。
< 60 / 106 >

この作品をシェア

pagetop