ボクは初恋をまだ、知らない。
そしてボクと啓介による、
本気の《壁ドン 再現》は行われた……。

ーーーーーーーー

「こら!!待て!!」

啓介から奪ったタオルを持って
ダンス部でのステップを使って避けるボク。

ちなみに公園の仕切りになっている石壁を
使う予定だ。

るなはドキドキしながら、
何故か動画を起動させている。

避けながらボクがどんどん石壁の方に寄ると、

啓介がボクの体を石壁に追いやった。

ドン……っっ!!

あの時と似た距離感で、啓介がいる…。

「……っっ。」

そっと見上げると、啓介が真剣な目で
ボクを見つめてきた。

「…俺を、からかうな。」

たまに見るくらいの真剣な眼差し。

だけど、やっぱり太陽先生の時と
何かが違うんだ……。

その違いに気づきたくて、

ボクはじっと啓介を見上げ続けていたが、
分かりそうにない。

「……ありがと、啓介。」

ボクは諦めたように、視線を落とした。

るなの携帯も、動画を停止した音が
聞こえたのだけれど……。

啓介が、思わぬ行動を起こしてきた。
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