クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「空っぽ……」


「あぁ、特別寮にいるやつらなんて特にね。何やっても無意味だって思ってる」


「そうなんですか……」


正直、私にはそんな気持ちがわからない。


家計のために高校入学と同時にバイトしたり、欲しいものを我慢したり、そういう私は、やっぱりお金持ちの人間とはなにもかも分かり合えないに決まってる。


「あ、そうだ。今日の始業式に生徒会代表挨拶してた人、いるでしょ?日比野 瑛斗」


「あっ、はい、ロングヘアの方……」


あまりの衝撃によく覚えている。


講堂の一番後ろの席からもよくわかるほどの美形だったもん。長髪の男性ってあんまり好きじゃない方だったけど、彼はなんというか、美しいって言葉がよく似合っていた。


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