クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


そういうんじゃないってなんだろうか。


中途半端に触れて、気が向いた時だけかまってもらうような、自分が気持ちよくなるためだけの都合のいい関係じゃないってこと?


私には簡単にすぐに触れてくるくせに。
いかに私のことをなんとも思っていないかがわかってしまう。


それぐらい、早凪くんは莉々ちゃんのこと特別に思ってて大切にしているんだ。


「……莉々ちゃんは早凪くんのことすごく好きだよ」


本人にも周りにもわかるくらい莉々ちゃんのアピールは凄まじい。


「莉々には昔から俺しかいなかったからね」


私のことを抱きしめておきながら、違う女の子の名前を出して、そんなことを言うなんて、ほんと早凪くん、無神経にも程があるよ。


「……っ、」


『だったらずっと莉々ちゃんのそばにいればいいよ』なんてセリフが口から飛び出そうになって飲み込んだ。


いくらムカつくからって、感情的に、思ってもないそんなことを言って、本当に早凪くんが今この手を離してしまったら、それこそ納得なんてできる気がしない。

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