俺の彼女は、キスができない。

「で、ちゃんと言ったの？柚子の病気のことは」
翌日のお昼。お弁当を片付けた後、いきなり、そんなことを聞かれた。
「うん。なった原因は言ってないけど」
ボソリとそう言った。
正直、あまりこの話題はしたくない。
私も、自分が病気だと言われたときはショックだった。血の気が引いた気がした。
「なんでよ！そこが重要じゃない！」
私の気持ちを察して、小声で言いながら、机のかげに顔を隠す。
#流石__さすが__#、悠莉。
どうやら、長年の付き合いだと分かるみたい。ちなみに、私と悠莉は小学校からの友達。
「しょうがないじゃない！言いにくいんだから！」
私も、小声で返す。
確かに、悠莉の言っていることは正しいと思う。だけど、こっちの気にもなってほしい。
私が病気になった原因を、ゆっくんに言うのは抵抗がある。
なぜなら、その原因に問題があったから。


ここでは、柚子が病気になった経緯と原因を、説明しておく。
まず、柚子が病気になったのは、中学一年生の秋だ。ちなみに、柚子と柚希は中学の入学式で出会い、一目惚れし、春から付き合い始めた。つまり、柚子は二年半をかけて、ずっと彼氏に隠し事をしていたことになる。
言えなかった柚希の彼女。気付けなかった柚子の彼氏。二人は、辛かっただろう。
柚子が柚希に言えない理由。それは。
原因が、柚子の彼氏によるストレス等なのだ。
柚希には、一つ、#難点__なんてん__#があった。それは、柚希の部活中に柚子を待たせること。そのせいで、柚子はストレスが溜まり、病気になってしまった。なぜ、歯の病気になってしまったかは分からないが、原因だけが発覚したのだ。

「でも、いつかは言わなきゃならないんでしょ！なら、今言ったほうがいいよ！」
悠莉は、小声でそう言った。
また、悠莉の言っていることは、ごもっともだ。だけど、不安がある。
もし、病気の原因を言ってしまったら。きっと、柚希は自責してしまう。それが、イヤなのだ。


私は、柚希にまだ隠し事をしているらしい。
しかし、次回にて、隠し事がバレてしまうらしい。