だから何ですか?Ⅲ
ぐうの音も出ねぇ・・・。
言われた言葉に呆けつつも悲しくも納得する自分がいる。
思わずムクりと上げた顔と視線は亜豆に向いており、捉えるのはクスリと笑いながらゆっくり扉に向き直りかけている姿。
確かに、
確かにな!
今の俺達の関係は前の関係と違って抑制も拘束も出来るものじゃない。
それでも不満と言う形で言い放つのは俺の自由だ。
「っ・・俺は高城が気にいらねぇ」
「・・・・・」
すでに僅か扉は開きかけていたタイミング、その不満をぶちまければピタリと動きを止めた亜豆が振り返る。
何も感情を映さない無表情だけども俺の意図を探る様に見据える視線は鋭い。
それこそどういう感情からの鋭さか。
探り合いはお互いに・・・か。
「・・・よく・・・わからねぇけど。・・・あいつ・・いけすかねぇ」
「何を・・・思って?」
「だから、よくわからねぇよ。・・・わかんねぇけど・・・、他の奴からは人望厚いんだろうけど・・・なんか・・・人格者すぎて胡散臭ぇ」
「・・・・・」
本当に理由なんてない、直感の嫌悪でしかない発言は場合によっては勝手な批判だ。
もしかしら亜豆の事をよく理解している様に語られた事からの嫉妬にすぎないかもしれない。
それでもどうもあの存在に対する警戒はなかなか消えてくれなくて。
お前の無言もどう取ればいいんだよ?