だから何ですか?Ⅲ



顔の距離の近さを明確に感じる息の熱はジリっと小さく胸の内を熱くする。


あんなに威嚇して警戒していたくせに浮上した疑問にはコロッと目の前の危機感を放り捨てる亜豆は可愛くもあるし不安でもあるし。


どうしてこう無防備なんだかなぁ。


それを気付かせるようにフーッと唇に息を吹きかけてやればさすがに我に返って再び顔の距離への危機感に揺れて。


いいね・・・。


その翻弄される感じ・・・美味そう。



「【迷惑】だって大義名分・・・使い方おかしいけどな」


「・・・はい?」


「【迷惑】だって思う事で、厄介で仕方ない事だって言い訳で括って誤魔化して・・・裏で興奮出来るだろ?」


「っ・・・・」


「本当は・・・着歴が俺の名前で埋まって喜んでる癖に、」


「なっ・・・」


「メールだって何度も見て興奮してる癖に、」


「ど、どこまで都合よしな・・、」


「こうしてる今だって、」


「っ・・・・」


「・・・・・何で逃げずに追い詰められてんの?」


「っ____」


「確かに詰め寄ったけど・・・俺、お前の事なーんも拘束してねぇよ?」



クツリと笑いながら言葉を示して自由な両手をひらりと振って見せる。




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