だから何ですか?Ⅲ



何がおかしいのか。


『まだ、分かっていない』なんて劣っているような言葉を弾かれたのに、この人が言う言葉には不思議と反抗心を抱けない。


むしろ素直に『どういうことだ?』と食いつく心が静かに正座して待っていて、そんな俺に静かに笑いを収めた姿が勿体ぶったように見つめた後、



「あいつが人身御供のお姫様気取ると思ってるなら大間違いだって言ってるんだ」


「・・・・・」


「自分の為に自己犠牲の精神で高城の贄にでもなったと思ってるんじゃないのか?」


「っ・・・だって、」


「おい、無能。お前・・・もっと亜豆って女を思い出してみろ。確かに自己犠牲で自分の不利を厭わない奴だけどな、タダで終わる亜豆でもないだろう?」


「・・・・・」


「思いだせ。・・・どうせ・・・それすらも思い当る記憶があるだろうさ」




そうだろう?と、トントンとこめかみを小突いて見せる大道寺さんの表示に誘導された様に、記憶のページがめまぐるしくパラパラと捲り戻されピタリと止まった。


その刹那、




『伊万里さんじゃ出来なかったでしょ?』




ああ・・・


無敵で・・・不敵で・・・、



「っ・・・」


「フッ・・・思い当ったか?」



ひたすらに・・・カッコイイヒロイン。




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