だから何ですか?Ⅲ
どうすればいい?
知れば知るほどお前の『好き』に敵う術がなくなっていく気がする。
なのに、知れば知るほど恋しさが募って、欲しいと血が滾って。
亜豆を・・・連れ戻さないと。
「・・・玩具になんてさせておけない」
「・・・・・」
「また・・・壊させて堪るもんか、」
決意が固まる。
亜豆が愛おしいと思うと同時にそれを害為す存在に抱いていた切なさももどかしさも憤りの糧になって。
ここにはない姿に挑み睨むように双眸には鋭さを乗せて、弾いた声音まで怒気を孕んで重く響く。
そんな俺を黙って冷静な目で見定めていた目の前の姿が、憤る俺とは対照的にフッと小さく口の端を上げてみせた。
それにはさすがに意表を突かれて滾らせていた憤りに冷静を混ぜて熱を下げる。
「大道寺さん?」
「いや・・・亜豆と同じ事を言って同じ表情でキレるんだなと思っただけだ」
「えっ・・・」
「1ヶ月半前に・・・丁度その場所で亜豆が同じ事を言い同じ様に奴に憤って狂気を見せてたからな」
「・・・・・・一ヵ月半・・前、」
「・・・まだまだ、亜豆って女を分かってるとは言えないな、お前」
クックッと笑う姿に不思議と苛立ちは浮上せず、どちらかと言えばこの人の笑う姿への驚愕の方が勝って呆けてしまう。