だから何ですか?Ⅲ
「『愛してます』
・・・・だから、結婚しませんか?」
同棲ではなく【夫婦】として『おかえり』『ただいま』という間柄に。
もうとっくに、俺の中ではその意識のけじめがあったのだなと今更に気が付いた。
言葉を発したのは突発的でこの空気に当てられたものかもしれないけれど、知らず知らず音にしても焦りも戸惑いも後悔もない程に定まった意識。
その言葉に確かな意識を見せてまっすぐに亜豆の目を見つめてふわりと微笑む。
そんな俺を見上げる亜豆の目には再び驚愕が揺れていて、そんな表情すら愛らしいと眺めていたけれど音としての反応も欲しいとそっと唇を指先で触れる。
言葉を求めるような誘導にようやくハッとしたような意識を見せると、浮かべたのはふわりとした柔らかい笑み。
そんな口元の弧から弾かれた音の形は、
「愛してます、」
ザワリと心を煽るような澄んだ声音の愛情表現。
それに満足に口の端を上げて、そんな唇をそっと綺麗な色味の唇に寄せた。