だから何ですか?Ⅲ
勿論笑顔で言われた亜豆のいつものおふざけだ。
それを分かってはいたけれど馬鹿正直にへこむ心が今も心臓に作用していて。
それがどうやら表面化していたのかそんな俺を見て亜豆が小さく噴き出し口元を抑える。
「伊万里さん。・・・効果覿面すぎます。そんな馬鹿正直にショック受けないで・・・フフッ、」
「う・・・受けるだろう?いや、俺結構ガラスのハートだからね?ヒビ入るの簡単よ?」
「アハハ、分かりました。分かりましたから、もう充分に私が好きだって分かってますから笑わさないで」
「っ・・・・・・・・・・・・・亜豆、」
「・・・・・あれぇ、」
『変なの』と言葉が続きそうな感じに笑ってはいるけれど、俺はそれに笑っていいのかどうなのか。
本当に心から笑っているくせにその目元から流れた涙はどういう意味だったのか。
亜豆も流れ落ちた涙を指で押さえて、尚もクスリと音を響かせると戸惑って見つめているままの俺に視線を絡め。
「嬉しすぎて泣けました・・・」
また・・・俺の負けだと思った。
いつだって亜豆の【好き】の意思表示に負ける。
クスクスと笑いながらペーパーナプキンで涙を押さえ『もう、泣かさないで』なんて言ってくる姿に胸が締め付けられる。