だから何ですか?Ⅲ
「井田の作った広告が賞取った、」
そんな言葉を弾いた俺の声は亜豆にどう響いたんだろう?
表情はどんな物を見せていた?
分かってるんだ。
最低で醜悪で恨むような・・・祝福なんてまるでない自己嫌悪の塊。
祝福すべき仲間で、自分の仕事も支えてくれた良い奴で。
そんな吉報に一番に喜んでやらなきゃいけない筈であるのに。
作った笑顔で作った声音で『良かったな』と言った瞬間に自分に腐敗を感じて苦しくなった。
どこまでも消化できずに溜まる一方の負の感覚に自分が一番嫌悪する。
好きだからこそその反動が大きい。
チャンスすらもらえない現状がもどかしくて、そんな中で隣あっていた奴が自分より上に進んでしまう。
そんな現状がもどかしくて、歯がゆくて・・・
「悔しいんですね、」
「っ・・・」
そんな言葉にようやく意識まともに亜豆を捉えたと思う。
映り込むのは髪は乱れ頬は紅潮し、まだ僅かに息の上がっている亜豆の姿。
適当に乱れた服装と、そこから覗く肌に散らされた無数の赤は自分が刻んだ物だろう。
ここは・・・どこだった?
そんな曖昧な感覚で捉える室内は見覚えがない。
ああ、そうだ。
高ぶった感情のまま仕事あがりに亜豆をホテルに連れ込んだんだっけ?