だから何ですか?Ⅲ



気が付かなかった。


意外と・・・風が吹く夜だったんだな。


ザワザワとざわめく木々が煩い。


力なく身を置くブランコのキィキィと軋んだ音を響かせて。


どこまでも・・・忘れられたような公園だ。


そんな事を思った頭はようやくめまぐるしい焦燥感から脱したという事なんだろうか?


あれから・・・どのくらい経った?


そんな事を思った瞬間に耳に残る言葉でツキンと胸が痛んで顔をしかめる。


思わず胸元を掴んで俯いて、カシャンと音を響かせながら片側の鎖に寄りかかった。


そんな直後、視界に捉えていた足元にパタリパタリと落ちた水滴。


一瞬自分から発生したものかと思い顔に触れるもさすがに涙は流していない。


じゃあ、と上を見上げれば、丁度目の下の頬に落ちて水滴が弾け、そのままつーっと流れて顎まで伝う。



「・・・・・・空が泣いた、」



ああ、違うか。



「空に・・・・泣かされた、」



いつの間に雨の匂いが充満していた。


見上げれば曇天であった。


何にも・・・・見えても感じてもなかった。









亜豆の事も・・・・そうだったのか?





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