だから何ですか?Ⅲ
時計を確認すれば亜豆と別れたであろう時間からは1時間以上は経っている。
帰ってるよな・・・。
女々しいと思われるんだろうか?
すぐに追いかけなかったくせにと詰られる?
そんな事は大した問題じゃない。
むしろ会って詰られるくらいはまだ自分にとっては都合のいい対応。
言葉を聞き入れてくれるような関係であるなら。
もう一度、今こうして冷静さが回帰した状態で問いて納得する答えを得ておきたい。
どうしても終わる関係を免れないにしても一度清算をつけなければどうにも動けない自分の心。
今までの、好きだと言う気持ちが中途半端に死にきらない。
終わりも出来ず続けもできないこの感情をどうにか消化しなければ苦しいままだ。
そんな瀕死の心を引きずって、深夜が稼ぎ時であろうタクシーを捕まえ亜豆のマンションへ向かった。
エンジンの揺れに身を任している間に窓に弾かれる水滴は量を増して、到着した時にはなかなかの降りっぷりに見舞われ小走りにマンションの敷地内に入り込んだ。
見上げる亜豆の部屋の明かりは灯されていない。
眠っているのか帰っていないのか。