だから何ですか?Ⅲ
シンッと静まった室内。
いや、突っ込んでほしくはないと思っていたけれど、こうして絶妙な沈黙も如何なものか。
さすがに俺の参っている状態に、笑い話に切り替え突っ込み続けるなんて事は出来なかったらしく、程々の沈黙の後それを無理矢理破るように『フゥッ』と切り替えるような息遣いが響き。
「ま・・・好きな形で休んでなさい。私は・・・食事の買い出し言ってくるから。この近くにスーパーあったでしょ?確か、」
「・・・・雑炊食いてぇ」
「おうっ、任せとけ!」
「フッ・・・・どこの威勢のいい野郎だよ」
なんとか気まずさをぶち破ってくれたお返し。
自分もこの空気を打破すべく、サラッと食事のリクエストをすれば男前な返答が響いて苦笑する。
雛らしい。なんて思って、鬱陶しいと思っていたけれどやはり家族の存在ばかりは良くも悪くもペースが分かって気兼ねがない。
パタパタとキッチンから抜け出てきた姿が鞄を手にして買い出しの準備をし始めていて、それを横目に自分はどうして時間をやり過ごそうかと思っていたタイミング。
「あ・・・そうだ、ねぇちょっと、」
「あー?」
「この会社行くのに交通手段ってどうしたらいい?」
「はぁ?会社?なんで雛が、」
一体何の話だと、首をひねって振り返ると、丁度鞄の中からゴソゴソと取り出したのは名刺入れだろうか?