once again〜season2〜
俺がこの華月家に執事として雇われたのは、もう10年も前の話。
父が元々、旦那様の執事として働いていて、息子である俺も…と言う流れで今に至っている。

俺自身、執事になりたくて、本場イギリスの執事学校に通った。
卒業後は、いろんな所からオファーがあったが、俺は迷わず華月家を選んだ。

有里華お嬢様がいる、この華月家を。


当の本人は、覚えていないだろう。
俺が華月家で働く前から、お嬢様を知っていたと言う事を。そして、俺の想いも。


そんな有里華お嬢様も、もう23歳。
いつかは人のモノになるんだと覚悟していたある日、お嬢様はお見合いをした。

所謂、政略結婚。
華道家同士の繋がり。

分かっていた事ではあるが、目の当たりにしてしまう日がこんなにも早く来るなんて事を俺は想像していなかった。

まだ先であるだろう…と。

しかし、思いとは裏腹に、お見合いは成功し、いつ結納をするのか?なんて話まで出だした。

それを嬉しそうに俺に報告してきたお嬢様に、冷たく心にもない、おめでとうございます。と言ってしまった。

使用人であるが故の定めか…

< 215 / 260 >

この作品をシェア

pagetop