星空電車、恋電車
私の背中に手を回して背中をトントンとしながら「うん。任せなさい」と力強くいづみが言った。
「あー!私だって心配してるし、相談に乗るもん!」
拗ねだしそうなユキの声にクスリと笑いながら「わかってるよ」と返事をする。

まだ付き合いは短いけれど、私はここでいい友人に出会った。
故郷の友達との付き合いを絶ってしまった私に現在進行形の友人はとても少ない。
二人は性格も考え方も私とは全く違う。でもいつも私の狭い考えの殻を破ってくれる存在でこの先もずっと付き合っていきたい大切な人になっている。

「さっきの人と会うの?」

「うん。聞いて欲しいことがあるんだって。夜なら絶対に断ったけど違うみたいだし、私も聞きたいことあるからちょっと行ってくる」
やはり心配そうないづみに微笑んでみせた。

あの夜、山下さんが私と樹先輩の姿を見たことは間違いないだろう。

興味本位でからかってくるのかもしれないけれど、山下さんが私と話したがってる内容がその話じゃないような気もするのだ。

それならそれで対応しなくてはいけない。
山下さんが私の情報を樹先輩に与えていないかの確認もしたいし。

二人には「付いていかなくていい?」と聞かれたけれど、今回は一人で行くと決めた。
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