旦那様からのI LOVE YOU「 雪菜偏」

男のロマン

雪菜が買い物袋を持ちマンション
に着く黒塗りの高級車が滑るように
横付けされた。
不振に思っていると中から

黒縁メガネの50代位の七三で
きっちりまとめた髪をした男が
おりてきた。

「失礼ですが櫻井雪菜様で
しょうか?」


  「そうですけど・・・何か?」
少しキョドリながら答えた。

「わたくし、こう言うものです。」
 彼はポケットから名刺を差し出し、
雪菜に渡した。

 名刺を見た雪菜は驚いた。
「大門コンツエルン、会長秘書
 山倉勲」

「大門ってあの!大手企業の大門です
か?」


「はい。今日はお願いがありまして、
 伺いました。お付き合いいただけ
ますか? 」


「え!!え、いや、困ります。」

「では、ここで単刀直入に申し
上ます。山形様と別れて頂きたい。
 それ相応の金額を用意致します。
 8ケタで如何でしょう?

 山形様に取っても大層なお話と
 思ぃます。」

「‥え、・・・何の事でしょうか?
 仰っていることが‥よく分かり
ません、それに私、
 彼氏をお金で売ったりしません
 一円も頂くつもりもありません

 いりません。」


「会長は大門コンツエルンの一人娘、
奈津様 に山形様をと、
望まれております。
 つまり、大門を 大夢様に、
譲りたいと 言う事です。」

「え!! あ!! ‥え!! 奈津さんって、
あの雌ラ イオン」

「は?・・・ライオンと言われました
か!?」

「いえ…その!! だ,だ大夢は、
何て言って ます?」
 震える声で聞いた。

「まだ分かりませんが、
彼の夢は企業のトップに立つ事と
伺っております。

断る理由は、無いとおもいます。

 彼にとって悪い話では無いかと
思われます
が?あなた次第で彼の人生がどう
にでもなります、最悪今の職を
失うやもしれませ ん。」


「…どうゆう事で・・・すか?奈津さん
って、あの大夢と同じ会社の奈津
さんですか?」



「そうです。大門隆司の、孫娘、
狭山奈津様です。御理解下さい
ませ。
後日お返事を、 この名刺の番号で
お待ち致します。」
 
彼は、キチンと背を正し、頭を下
げまた車に乗り込み去っていつた。

ポツンと残された雪菜は、もらった
名刺をジッと見て大夢に何かが
起こりそうな
嫌な感じの胸騒ぎを覚えていた。
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