旦那様からのI LOVE YOU「 雪菜偏」

ヤッパリ会いたい

其れから2ヶ月が過ぎた。


日が過ぎるのはあっという間。
もう8月も終わり。蝉の声も聞こえ
なくなり街は少しずつ落ち着きを取
り戻していた。

雪菜は相変わらずケーキ屋とカフェ
の掛け持ちをやっていた。

ケーキ屋さんで12万、カフェで13万
休みをとるのは結菜が遊びにくる
2ヶ月に3日だった。


彼氏もいないし、する事ないし
家に、ボッチは気が狂いそうにも
なる。

だから働くのは苦にならない。
もはや嬉しいくらい。

晩御飯もまかないがあるし、皆と
ワイワイして楽しい。

寂しさを紛らわすには一人に、
ならないことこれが一番。


ずっと大夢と居たから。
慣れた生活を棄てるのは本当に辛い。

怪我の巧妙か、働き続けて体重は
45キロになった。

何をどんだけ食べても太らない。

運動するし、働くし、何より気に
しなくてもいいからストレスなんて
無くなった。

髪も伸ばした。カールしたら可愛く
なったかな?

今まで履けなかったミニスカも
はいてみる。
前の会社の皆が見ても別人カナ?

スゴ~ク大夢に会いたい。
幸せか見届けてみたい。

9月連休取って里帰りしょう?
ちょっと大夢、見たら帰ればいい。

9月上旬、遅い夏休みが貰えた。
前から計画してたように東京へ。

大夢が今どんな生活をしているのか
確認してみたい。


合わない!見るだけ。
今の大夢はもう、遠い人間になって
るはずだ。



夕方六時、大夢の会社の前に立ち、
此処から大夢と別れたんだ。

大夢をジッと待つ。
見るだけ、みるだけだから‥。
なかなか出て来ない。


今日は残業かな、と諦めて帰ろうと
したとき沢山の同僚と出てきた。

相変わらず様子が良くてカッコイイ

女の子達が腕をホールドして
ワイワイ楽しそうだ。

「良かった、元気そう。」
変わらずモテてるね。




ふっと振り返り明らかに会社の子
とは雰囲気の違う女の子が目に入
った後輩が、


「おい、あの子可愛いな・・・
誰か待ってんのかな?」

振りかえった同僚がテンション高
めに声をあげる。

   「オーメチャクチャタイプ」


新卒の男の子達もさわぎだした。

その声に大夢が振り向いた。

大夢は引きつけられるように
ジッと見た。

大夢の柔らかい笑顔が固くなる。
ショートカットがロングになって、
細く見えるが

       「あれ‥は?‥」

「あ、‥あ、‥あ!!雪菜」

「みんなごめん、先にいってて!! 」
バタバタと走る。

しかし、信号が青から点滅して赤に
なった。バスやトラックが目の前を
流れ出す。

「雪菜ぁー、ユキナー」

    「ゆぅーきぃーなぁ。」
パパパーッ
ブブブー
ゴォゴオーゴォーォー

大声で叫んだが車のクラクションや
車のながれに飲まれ彼女には届かな
かった。

青になり急いで探し回ったが雪菜を
見つけられなかった。

喧嘩した日なんであんな酷い事を
いえたんだろ。

「俺が玉の輿に乗ったら
 消えてくれるよな。」

だから消えてくれたのか?
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