旦那様からのI LOVE YOU「 雪菜偏」


「ね、ね、聞いた?課長結婚決
まったみたい よ。今、社長の所に向こうの親来てるよ。」

「あーね。そんな感じだったよね。」

「ほら噂をすれば来たよ。」

エスカレータを2人で仲良く笑いあい
ながら腕を組み出てきた。

ダブルボタンの品のいいロングコート
にストレートの黒い髪が日本美人そ
のものだ。白いネックのセーターが
チラッとみえて黒いパンツが
ハイヒールの白さを引きつけている。

大夢もスタンドコートの下に黒い
スーツにワインカラーのネクタイが
よく似合ってる。

「すてきねー。」女の子達が
ハァ~っと魂が抜ける溜め息を吐い
ている。

「悔しいけどお似合いだね。」
「そだね。」

雪菜もつい口走る。
また2人に変な顔されたので
早足で大夢と彼女を追い越して歩いた
大夢は、また彼女の肩を抱いて
仲良しアピールをした。

これで雪菜の気持ちは、固まった。
長崎に帰りつくとケーキ店のシェフに



「よろしくお願いします。
 勉強に行きます。」


それからしばらくして結菜から結婚式の案内状が届いた。
薄いピンクの上品な封筒は開くと紙のレースが飛び出して

12月25日と日付があつた。
白い花と赤い花が可愛く両家の挨拶文を囲んでいた。
結菜らしいなとほっこりした。

25日かぁ、雪菜は深い溜め息をはいた。

そして‥

25日かぁ大夢も、深い溜め息をはいた。
ハア~ッ!
「なんだんだ、案内状見て溜め
息吐くなよ。へこむぞ。」

光寿郎は持参したビールを大夢が駄菓子屋で買い込んだ味付きイカに食いつきながらご機嫌で言った。

大夢も「お前ら張り付いたようにひつっいてんのな!! 仲良くてなによりだ!!」

そう嫌味ったらしく言った。

「お前、せーっかく仲直りしてたのに何で第2ラウンドの鐘ならしてくんだ
よアホか?馬鹿か?」

光寿郎は
「馬鹿につける薬はない!の意味が良く分かるぞ!!」
と呆れ顔をみせていた。

「ふんっ、俺は頭擦り付けて
人目も構わず、謝ったんだ。
本気見せたのにどうよ、は?
俺は頼んだんだ、一緒にいてほしいって・・・なのに何だよ。

マジムカつく。今度は、雪菜に
土下座してもらう。クソッ。泣き叫んで俺を愛してると言わせてやる。」


大夢は、子供みたいに意地を通す
事がある、光寿郎はそんな大夢に
ことごとく忠告してきた。
「大夢、素直になれ!! 」
  
  「俺は素直に頼んだんだ。(怒)
   これ以上どうするんだ?」

「よしよし!!俺は忠告したからな、
な!! どんな事になっても
恨むなよ。」

    「おうょ、聞いた。!!」
大夢は、プリプリしながら返事
した。

HAPPY WEDDING
12,25
    某有名ホテル
雪菜は大夢を見つけると、足早に
近づいた。

「大夢、少し話したいんだけど?」

雪菜は少し胸のあいた膝までのパー
ティードレスにラメの入ったブラウン
のストッキング、ピンクのシヨールは
緩く巻いた胸下までのがからまっとても可愛らしかった。


「少し話そうよ。
 聞いてほしい事もあるんだ。」


雪菜は申し訳無さそうに頼んでみた。
しかし大夢の冷たい表情で吐き捨てられた言葉は・・・。

「誰かと間違えてませんか?
貴方なんか知り合いに居ませんよ。」


相変わらずのウルフヘアーの
ツーブロックの大夢は、とても凛々
しく女の子達が振り向くほどいい男だった。

「じゃあ櫻井雪菜の連絡先消せます?」

最後の賭だ。雪菜は大夢は、絶対消せないと思っていた。
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