姫は王となる。
警備兵二人に担架で運ばれ、横たわったまま血だらけで動かない風の姿。
「…風…」
ゆっくりと風に近付く。
「風…」
何度も名前を呼ぶが、返事をしない。
「風…」
身体が震え、視界がぼやけ始める。
「花蘭様」
ふらつきながら風の元に近寄る私を、老婆が支える。
「…風」
担架の上に横たわる風の姿に、さっきのお父様と兄様の姿が重なる。
ドクン。
ドクン。
動悸がして、気持ち悪い。
怖い。
苦しい。
けど、確かめなきゃ…
「…風…」
震える手で、風の頬に手を触れた。