姫は王となる。
パタンー…
部屋から出ると、静かに扉が閉まった。
廊下にいた警備兵数人が膝まつき、頭を下げた。
「…風」
「はい。王様」
風に背を向けたまま、名前を呼んだ。
「王室に入ったら、詳しく話せ」
「…はっ」
風の返事を聞くと、王室に向かって歩き始める。
コツコツ…
ヒールの音と…
ガシャガシャ
風と老婆の後ろから付いてくる、警備兵の靴の音。
王室に着くまで誰一人、口を開くことはなかった。