姫は王となる。
足音が聞こえなくなるまで見送っていると、背後に気配を感じた。
「花蘭様、失礼致します。結婚式の最終確認をお願いしたいのですが…」
「今行くわ」
きらびやかなスカイブルーのドレスのスカート部分を持ち、後ろに振り返る。
声を掛けてきた老婆の使いは、膝まつき頭を下げている。
「行きましょう」
「はい」
その横を通り過ぎ、コツコツとヒールの音をさせながら歩き出す。
その3歩後ろに、老婆が付いてくる。
風と別れた部屋を出ると、外にいた警備兵たちが皆頭を下げる。
警備兵たちの横を通り過ぎると、老婆の後ろに警備兵たちが付く。
産まれた時から、これが日常。
だって私は、この東国の王の娘。
花蘭。
王位継承では、第2位になる。